外传

0;生禸1; 爆裂犬

《狼不会入眠》 · 支援BIS · 3391 字

1

「うわあ。すごい状態だね」

「ああ」

「薬を作ってるのかと思ってたら、こんなに剣を並べて何やってるの?」

「いや、自分が何を持ってるのか、自分でもわからなくなったんで、ちょっと整理をな」

「レカンの〈収納〉って、〈箱〉とちがって、入れた順番に並んでるんじゃないんだったっけ?」

「ああ。なかに手を突っ込んで、欲しい物を念じると、それがつかめる」

「泥で汚れた薬草と、綺麗な服をごっちゃに入れても、服が泥で汚れたりしないんだよね」

「ああ」

「それ、むちゃくちゃ便利だよね」

「まあな。だが、何が入ってるかわからんと、出すことができん」

「じゃあ、忘れちゃったものは永久に取り出せないじゃん」

「いや。今こうやって剣を出しているのも、〈剣を〉と念じて出しているんだ。剣を出し切ったら、次は〈武器を〉と念じて出していく。そうやって種類別に出していって、最後には、〈すべてを〉と念じれば、〈収納〉に入っているものはすべて取り出せる」

「あ、そういえば、前に食べ物の整理してたことがあったね」

「ああ」

「この一角に固めておいてある剣は、何?」

「ツボルト迷宮で得た剣だな」

「この変な形をした剣は何?」

「〈隠身剣〉だ。それは装備するだけで姿や気配がぼんやりする剣だ」

「へえ? こっちのは?」

「〈回復剣〉だ。それで斬ると傷が治る」

「あのねえ。あたしにもできることとできないことがあるんだよ。そんなみたこともないような異世界の生き物を、どうやって復活させろっていうんだい」

だが、四方八方から襲い来る小さな魔獣の大群に、護衛四人ではまったく手が足りなかった。

(どうしてこんなものがここにいるんだ?)

「だから、この剣と魔石から、犬を復活させてほしいんだ」

「うわああああ。ふわふわだ」

「馬に遅れずに隊商についてきてね。夜は夜で、魔獣が近づいてきたら、わんわんって吠えて教えてくれたんだ」

エダは目を閉じて頬をリンにすり寄せて、至福の笑みを浮かべている。

「もう名前をつけたのか」

「えっ? あ、ほんとだ。詰め込んでおいたマケンの魔石もないや」

(犬?)

「知らん。今来たら、それがいた。うん?」

「これは、オレがもといた世界の魔犬という魔獣の魔石だ」

そのとき、小さな白いものが横から走り出て、大剛鬼の胸にまっすぐ飛び込んだ。

翌日、整理の続きをしようと調薬小屋に入ったレカンは、白い小さな何かが走り寄ってくるのをみて、一瞬身構えた。その小さな何かは、レカンの足元ではねまわると、あんあん、とうれしそうな声をあげた。

「それでね、リンたら、すごかったんだよ」

それでもエダの縦横無尽の活躍で死者は出ずにすんだ。馬車は多少被害を受けたが、大損というほどではない。

「この折れた剣が〈爆裂剣〉だってのはわかる。イヌってのは何で、この魔石は何なんだい? てか、これほんとに魔石なのかい」

エダは右手に持っていた茶色の細杖を投げ捨て、〈イェルビッツの弓〉を引き寄せた。だが、間に合わない。

ところが運悪く、このときは森のなかで赤猿の大群に襲われた。

赤猿たちが退却してゆくと、エダは怪我人に〈浄化〉をかけてまわった。

エダはそっとドアを閉めて、外出した。

リン、とエダが名を呼ぼうとした瞬間、大爆発が起きた。

「名前がないとかわいそうじゃないか」

「壁に立てかけてあるだけじゃ、危ないよね」

エダがやってきた。

2

「だが、リンはこの世界で誕生した生き物だ」

「この子の名前だよ」

ノーマもリンを気に入った。抱きしめてしばらく放さなかった。

「そうだな」

「この白いふわふわしたのは何?」

「えっ? この剣でつけた傷は治っちゃうの?」

「大っきな蜘蛛猿を恐れもせず、堂々と吠えて威嚇してくれたんだよ」

ジェリコとユリーカは、すぐにリンと仲良くなった。

「そうか! じゃあ、マケンの魔石が〈爆裂剣〉の恩寵を吸い取って、リンが生まれたんだね」

巨大な大剛鬼が。

「どうしたの?」

「レカン様」

「そんなになめたら、くすぐったいよ。あはは。この子、どうしたの?」

「それも魔石だ。魔犬の魔石だな」

と言ったときにはもう、エダは身をかがめて両手を突きだし、走り込んできた犬のようなものを抱き取っていた。

「そうか」

「〈爆裂剣〉がない」

「そういえば、魔石が一つ少ないような気もするな」

「ああ」

「悪いがあんたの言ってることが、あたしにゃわからない」

レカンはフィンディンとともに調薬小屋を出た。エダも小屋を出ようとして、ふと〈爆裂剣〉が気になった。

エダは、レカンの視線にも気づかず、夢中で犬をなでている。

「ああ、フィンディンか。入れ」

「この世界ではみかけないが、オレがもといた世界ではいろんな種類の犬がいた。魔物じゃない犬もな」

その次の依頼にも、エダはリンを連れていった。馬車五台に護衛四人しかついていないが、いつもはそう危険な道ではなかった。

「さてと。ミリルさんのとこに行かなくちゃ」

「そうか」

「いや、危険かもしれんぞ」

「変なの。こっちのは?」

3

「そうか」

「戦いのあとに、リンをなでてやるとね。すごく手触りがよくて、あたいも元気になるんだ。リンもあたいが大好きなんだ。ほら、みてみて。尻尾をこんなに振ってるでしょ」

「そうか」

「マケン?」

「こわっ。こっちの机には魔石がいっぱいだね」

「うん。〈爆裂剣〉が滑って転ばないように、マケンの魔石を詰めておいたんだ」

レカンは、それがエダに危害を及ぼさないか、厳しい目でにらんでいる。

エダは〈イェルビッツの弓〉を駆使して赤猿を次々に撃ち落とした。

「うーん。簡単にいえば、戦闘力が低くて人なつっこい狼みたいな感じかな」

爆発の余韻がさめたあと、そこにはばらばらに吹き飛んだ大剛鬼の体があった。

「えっ。レカン。こ、この子、何?」

4

わんわんわんと、リンがけたたましく吠える声に顔を上げると、森から飛び出してきた魔獣が、エダに飛びかかろうとしていた。

「それは〈爆裂剣〉だな。衝撃を与えると爆発する。倒すなよ」

今日は、以前の隣人に料理を教えてもらう約束なのだ。

「犬の魔物だ」

「どんな生き物なの、イヌって」

「イヌ?」

「マケン?」

「かわいくて、強くて。リンは無敵だね!」

それにしても、赤猿は、どうしてあれほど大群で襲ってきたのか。どうしてあんなに激しく攻撃を仕掛けてきたのか。そのことを、エダは考えてみるべきだった。

「わからん。が、犬だな」

こうしてレカン一家に新たなメンバーが加わったのだった。

「……?」

そこに油断がなかったとはいえない。

「その剣では人に傷はつけられない。ほかの傷が治るんだ」

エダは、机の上にあった魔犬の魔石を〈爆裂剣〉の刃先にぐっと詰めた。これで滑って転がるようなことはない。

そして折れた〈爆裂剣〉が落ちていた。

5

だが、エダは怪我人の治療に一生懸命だった。

「リン?」

レカンは、魔犬と犬のことを説明した。そして、リンがどのように現れたかを説明した。

「魔犬の魔石?」

「そうか」

「その鳴き声がまたりりしくてね」

「イヌ! イヌってこんなにかわいいんだ。おいで!」

「失礼します。今、騎士リーガン・ノートス様がおみえです。急ぎレカン様とご相談したいことがあるとのことです」

「〈爆裂剣〉とそのマケンとやらの魔石が融合して誕生したって、あんたは言うんだね。それだったら、まず〈爆裂剣〉の折れてないやつを手に入れて、一晩その魔石と一緒に置いてみたらどうなんだい。それが筋ってもんだろう」

「なるほど。そうだな。行ってくる。もし、それでもだめだったら、また来る」

「来ても無駄だよ。あら、行っちまった」

レカンは飛び出していった。たぶんツボルトに向かったのだろう。恐るべき行動力だ。狙って〈爆裂剣〉を手に入れるつもりだ。普通はそんなことはできないのだが、レカンは普通の冒険者ではない。

「よっぽどエダちゃんの涙がこたえたんだろうねえ。ふふ。その点じゃ、あたしの狙い通りだったわけだ。まあ、幸せになんな」

だが、〈爆裂剣〉とマケンの魔石で、そのイヌとやらができなかったら、レカンはまたシーラのもとに来るだろう。そのときはどうしたらいいのか。

この老賢者にもその答えはなかった。

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第一卷狼不会入眠 1

  1. 01作品相关
  2. 02第01话 黑S洞穴的尽头
  3. 03第02话 护卫委托
  4. 04第03话 拜师测验
  5. 05第04话 药草采取
  6. 06第05话 贡布尔迷宫
  7. 07第06话 魔N传说
  8. 08第07话 贡布尔迷宫再访
  9. 09嘉卡王国地图和各种设定

第二卷狼不会入眠 2

  1. 01插图
  2. 02第08话 药师失踪
  3. 03第09话 队伍组成
  4. 04第10话 寨卡兹商店
  5. 05第11话 凯雷斯神殿
  6. 06第12话 施疗师诺玛
  7. 07第13话 诱拐
  8. 08第14话 不请自来的学徒

第三卷狼不会入眠 3

  1. 01插图
  2. 02第15话 N骑士赫蕾丝
  3. 03第16话 尼纳耶迷宫上层
  4. 04第17话 尼纳耶迷宫中层
  5. 05闲话1 毕休露夏普塔之风
  6. 06第19话 银狼讨伐
  7. 07第20话 金级升格
  8. 08第21话 领主馆的决斗
  9. 09第22话 魔法指导员朵萝丝
  10. 10第23话 王都来的使者
  11. 11第24话 希拉暗杀
  12. 12第25话 丝夏娜的纯Q
  13. 13第26话 药圣来访
  14. 14第27话 药神问答
  15. 15闲话2 学士珊朵拉

第四卷狼不会入眠 4

  1. 01插图
  2. 02第28话 拉芬的岩棚亭
  3. 03第29话 茨波鲁特迷宫之挑战
  4. 04第30话 共同探索
  5. 05第31话 茨波鲁特迷宫的秘密
  6. 06第32话 柯古陆斯领主的委讬
  7. 07第33话 被隐藏的阶梯
  8. 08第34话 迷宫事务统括官伊莱莎
  9. 09第35话 工库鲁家的继承人
  10. 10第36话 贤人王之血
  11. 11第37话 第121阶层的死斗
  12. 12第38话 斑恰拉家之凋落
  13. 13外传 拉斯库

第五卷狼不会入眠 5

  1. 01插图
  2. 02第40话 白雪花之姬
  3. 03外传 鸦库鲁班多
  4. 04第41话 赫蕾丝与诺玛
  5. 05第42话 求婚决斗
  6. 06第43话 多穴迷宫
  7. 07第44话 伴侣
  8. 08外传 杰利可

第六卷狼不会入眠 6

  1. 01插图
  2. 02第45话 红莲之魔N
  3. 03第46话 白炎狼
  4. 04第47话 背叛者
  5. 05外传 艾迪达
  6. 06外传 波德
  7. 07外传 深皿
  8. 08外传 艾札克
  9. 09【文库】闲话剧透(1~3)
  10. 10第48话 复活

第七卷狼不会入眠 7

  1. 01插图
  2. 02第49话 御前比武
  3. 03第50话 幽夫动乱
  4. 04第51话 魔王降临
  5. 05第52话 腐禸王之迷宫

第八卷狼不会入眠 8

  1. 01插图
  2. 02第53话 王都再会
  3. 03第54话 兽人帝国
  4. 04第55话 双雄激战
  5. 05最终话 传说的开始

第九卷狼不会入眠 外传

  1. 01月夜的访问者
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